2017年7月20日木曜日

金沢ひとり勝ち説は本当か(下)

(承前) 金沢ひとり勝ち説は本当か(上)

 午後6時過ぎに晩メシのためお寿司屋に入りました。近江町市場近辺の観光客向けの派手な造作ではなく、おそらく地元客相手のごく地味なカウンターだけのお店です。
 10貫で1200円くらいでした。写真が下手で恐縮ですが、たいへん美味しかったです。
 大将とのやり取りの中で、わしが10年ぶりに金沢に来て、駅や近江町が全く変わっていたこと、観光客が多く、しかも外国人が非常に多いのに驚いたこと、などを話し、「これはやっぱり新幹線の効果ですかねえ?」と聞くと、大将とわしの隣のお客の中年男性は即座に首肯し、まったくそうなんです。しかも、新幹線でこんなに賑わっているのは金沢だけで富山はあんまりなんですよ。金沢のひとり勝ちなんですよ、と奥ゆかしく、しかしきっぱりと言い放ったのです。

2017年7月19日水曜日

金沢ひとり勝ち説は本当か(上)

 滑川に続いてわしが訪れたのは石川県は金沢市です。
 北陸新幹線で富山駅からわずか20分ほどで到着するのですが、満席の乗客のうち富山で下車する人はわりと多くなく、ほとんどが終点の金沢まで向かっていました。
 北陸新幹線の開通により、富山や金沢へは東京からわずか2時間~2時間半程度となりました。糸魚川、黒部、富山、高岡、金沢などの沿線都市にとっては観光を中心とした地域振興の千載一遇のチャンス到来と期待されつつも、しかしふたを開けたら観光客の伸びは金沢だけが突出する結果となり、「金沢のひとり勝ち」などと評されているのは記憶に新しいところです。
 そして、わしがぶらぶらっと見聞きした範囲でも、対富山市と比べると金沢市は圧勝していたように見受けました。

2017年7月18日火曜日

ほたるいかミュージアムがトホホだった件

 思い立って富山県滑川市にある ほたるいかミュージアム に行ってきました。伊勢市から7時間近くもかかるこの小都市を訪れた理由は、もうかなり前ですが何かのテレビ番組で、大量のホタルイカがミュージアム内の水槽で発光している神秘的な様子を見て印象に残っていたのと、富山の代名詞ともいえる地域資源であるホタルイカを活かした地域振興策が、実際にどれほど功を奏しているのかをこの目で見たかったためです。
 しかし同時に、今や全国各地に雨後のタケノコのように生まれたこの種のご当地博物館やご当地ミュージアムが、現実にどれほど賑わっているものなのか、そのほとんどは閑古鳥が鳴き、ミュージアムを名乗りながら展示物はまがい物のレプリカばかりで実物の迫力には程遠く、ホコリをかぶり、建物もヒビだらけシミだらけの不様な「負の遺産」に堕している例も五万と知っており、まさかそうはなっていないだろうかという不安 ~期待では決してない~ も頭をよぎっていたのは事実です。
 そして、時おり雨もぱらつく蒸し暑い午後、わしが体験したのはやはりというべきか、後者の不安な予感のほうでした。

2017年7月17日月曜日

中小企業の潮目が変わりつつある

 桑名商工会議所が開催告知していた「桑名後継者塾」の受講申し込みが定員を越えたことを、この塾で主任講師を務める武田経営研究所 所長の武田秀一さんがブログに書いていました。定員越えは昨年と同様とのことですが、事業承継にここまで関心が高くなってきたことに、わしはある種の感慨を覚えます。
 数年前、中小企業の現場からは「人手不足」の声が聞かれるようになっていました。しかし、マスコミの論調は、まだまだ仕事を得られない人は巷に溢れており、企業はもっとたくさん雇用すべきだというものでしたし、行政による雇用施策も、求職者や学生がいかにすれば企業に就職できるかの「ノウハウ」伝授や、働くことの意義・モチベーション向上対策などが主流で、労働市場はとっくに「売り手市場」に変化してしまっており、従業員が確保できないため事業が行き詰まる「人手不足倒産」の危機さえ中小企業には迫っているということが広く認知されるようになったのは、つい1~2年前です。
 このように、マスコミや政府、労働組合からの広報はしばしば中小企業や労働市場の現場と乖離します。上からの情報だけでなく、現場の声を聞き、冒頭の武田先生の情報を重ね合わせると、中小企業経営の主要テーマの潮目は「後継者対策」「事業承継(事業廃止)対策」に大きく変わりつつあることがわかります。

2017年7月14日金曜日

森のあいうえお CFがスタート

「日本の森林と木を次世代へ」を理念に掲げ、国産材による食器や玩具などの木製品を企画・販売している日本モッキが、森のあいうえお という積み木の販売を、クラウドファンディングを使って行っています。


 「森のあいうえお」は国産材を使い、国内生産された、あ・い・う・え・お・・・の文
字が一文字ずつ書かれた全部で46枚の積み木です。絵本作家の ももろ さんがイラストを担当していて、優しい絵はお子さんの情操教育にもぴったりとのこと。

2017年7月13日木曜日

三重の休眠酒造会社が北海道で再生

 今日は小ネタ。こんなこともあったんだ、と最近わしが知ったことのメモです。
 北海道は札幌から、北東に約180km離れた人口4000人足らずの上川町という町に、今年の春、新しい日本酒の酒蔵が誕生しました。上川大雪酒造株式会社という新会社が営む「緑丘蔵(りょっきゅうぐら)」がそれです。
 蔵の面積は83坪で、これは酒蔵として小規模だそうですが、仕込み作業は社員のほかに上川町の役場と町民有志による 酒蔵支えTaI(さかぐらささえたい) というボランティア組織を作って手伝っており、原料となる米もすべて上川町の近隣で収穫された彗星・吟風・北雫という北海道産米を使っているという、地域に根差した「地方創生蔵」であることが売りになっているそうです。
 もう一つの大きな特徴は、この上川大雪酒造の酒造場は、日本酒の製造を中止し事実上休眠会社となっていた三重県四日市市の酒造会社(株式会社ナカムラ)を北海道にゆかりのあるレストラン運営会社が買収し、ナカムラの醸造所を主務官庁である税務署の許可を取って上川町に移転するという手続きによって設立されたということです。
 なぜこんなややこしい手続きを取る必要があったのでしょうか。

2017年7月12日水曜日

タオルと芋粥

 芥川龍之介の小説に「芋粥」というのがありました。平安時代、都の公家に仕える下級武士の物語です。気力も腕力も人並み以下で、貧乏暮らしのこの侍が、ある若い男の前でふと「せめて芋粥が腹いっぱい食べてみたい」と口を滑らせたことから物語は急転します。
 この若者は越前・敦賀の受領(ずりょう。地方長官)の一族でした。下級武士は敦賀に招待され、受領の邸宅で下へも置かぬもてなしを受けたことに驚き、気後れさえ感じ始めます。極めつけは夜も更けて休もうとしていた時、「皆の者、よーく聞け。今日は大切な客人から都から来ている。召し上がっていただくのに、明日の朝までにこれこれの大きさの山芋を、皆が一本ずつ必ず持ってまいれ」と叫ぶ誰かの号令を聞いたことです。
 夢うつつのうちに朝が来て外を見ると、百姓たちが持ってきた山芋が、それこそ山のようにうずたかく積まれていたのです。これを見た途端、侍は「もうこれを見ただけで腹が一杯になり申した」とつぶやいた、というような話でした。
 こんなことを思い出したのは、今月5日の九州豪雨で、山の崩壊や土石流、洪水などによる大きな被害を受けた大分県日田市の、ある被災者の呼びかけに応じて、全国から善意のタオルが途方もないほど送られてきて、収拾がつかなくなっているという記事を見たからです。

2017年7月11日火曜日

誰もネットに書かないのは、なぜ?

 地方公務員向けの業界情報サイトである時事通信社の「官庁速報」に、静岡県磐田市が、平成28年度から始めた「魅力産業サポート事業」なるものの成果に関する記事が載っていました。
 官庁速報の中の「施策それから」というシリーズもので、スタート時には大々的に報じられ、熱心にPRもされる地方自治体の施策が、その1年後、2年後にどうなっているか、実際に成果を生んでいるのか、などを追跡取材している内容です。
 で、この記事によると「魅力産業サポート事業」とは
 磐田市役所の職員が市内の中小企業を訪問してニーズを調査し、課題の解決に向けて、商工会議所・商工会、金融機関、県の支援拠点、日本貿易振興機構(ジェトロ)などの関係機関と連携して徹底的な支援を行う取り組み
 「磐田版おせっかいモデル」と名付けられ、予算ゼロで「お金を掛けずに知恵を尽くす」点がポイント
 だそうです。
 昨年度は約800社を企業訪問したとのことで、実際に市内のばねメーカーが、ばねの特性を生かしたキーホルダーなどを新開発して販売を始めるといった、この事業による成果も着実に上がっていると官庁速報は報じています。

2017年7月10日月曜日

残業は合理的である

【読感】 なぜ、残業はなくならないのか 常見陽平著(祥伝社新書)

 電通の新人女子社員の過労自死事件をきっかけに、「働き方改革」が大きな脚光を浴びています。過労死の問題も深刻ですが、日本の産業、特にサービス業は諸外国に比べて労働生産性が低く ~つまり労働時間の長さに比べて生み出す付加価値が低く~ 産業競争力を向上させる意味からも勤労者の労働時間の効率化が求められています。
 その対策として誰もがまず思い浮かべるのは、時間外労働つまり残業を減らすことです。
 夜になっても煌々と明かりがつくオフィスビル。延々と続く内容のない会議や目的不明な資料の作成作業。ここで労働者は終電まで仕事をし、疲れ切って帰宅する。家では寝るだけ。休日もまた、寝るだけ。
 これではとても豊かな生活といえないし、能率も決して高くないはずです。諸悪の根源は残業であり、残業を減らせばこれらはすべて解決するように思えます。 

2017年7月9日日曜日

伊勢ギーク・フェア2017開催決定

 参加者みんなで「作る」を楽しむイベント、伊勢ギーク・フェア2017が今年12月3日(日)、伊勢シティ・プラザで開催されることが決定しました。

伊勢ギーク・フェアFacebookページより

 ロボット、電子工作、伝統工芸、からくり機械、3Dプリンター、手芸品、テクノ手芸品、レゴ作品など、今回もたくさんの作品が出展される予定とのことで、事務局では現在、出展者を募集しています。

■申し込み先(伊勢のweb制作・webデザイン オフィスくーま)
  http://igfaire.office-kuma.com/

2017年7月8日土曜日

負のスパイラルと呼ぶ

 先日、日本とEUとの経済連携協定(EPA)が大枠で合意に達したことが報じられました。
 自動車や自動車部品、電子機器、日本酒などの品目で、現在日本からEUに輸出する際にかかっている関税が、即時もしくは数年以内に順次撤廃されるとのことで、自動車業界などを中心に、全世界のGDPの3割を占める日本とEU諸国の巨大経済圏が誕生することに歓迎の声が上がっているそうです。
 しかし一方で、EUから日本に輸出されるワインやチーズ、豚肉、パスタなども、現在は日本政府により課せられている関税が、即時撤廃もしくは段階的に引き下げられます。
 毎日新聞などによると、ワインは1本最大93円かかっている関税が即時撤廃。チーズは新たに現行とは別の低関税枠を新設。豚肉は1キロ当たり482円の関税が撤廃されます。当然ながら国内の酪農家や農業者などには大きな影響が予想され、政府はチーズの原料となる生乳の生産者への補給金積み増しなど、酪農や畜産、林業などへの支援を強化する考えを示しています。

2017年7月6日木曜日

秋元さんに聞くNPO経営と企業経営(下)

(承前) 秋元さんに聞くNPO経営と企業経営(上)

 ソーシャルビジネス(社会や地域の課題をビジネスの手法によって解決する事業)の事業者にとっての売り上げアップ手法は、秋元祥治さんによれば、例えば次のようなものです。
1)お客さんから費用が回収できないか。
 SB事業者の商品(製品やサービス、ノウハウなど)の受益者から費用が回収できないか、もう一度よく考えてみましょう。そもそもあなたの事業から利益を受けているのは誰でしょうか。そして、その受益者から得ている利益は本当に適正なものでしょうか?
2)お客さんを細分化してみる。
 うな丼には松(特上)、竹(上)、梅(並)があります。梅はたくさん売れますが利幅が薄いので店はあまり儲かっておらず、実際には利益の大半は利幅が厚い松のお客からである、とはよく聞く話です。顧客(受益者)の特性や属性によって価格を変えてみることはできないでしょうか?

2017年7月5日水曜日

秋元さんに聞くNPO経営と企業経営(上)

 先日、津市で、岡崎ビジネスサポートセンター(OKa-Biz オカビズ)の秋元祥治センター長によるセミナーが開催されたので行ってきました。
 地域や社会の課題をビジネスの手法によって解決する、ソーシャルビジネス(コミュニティビジネス)をテーマに、「事業⾃⽴したNPOへ、いかに成⻑するか。NPO経営経験とオカビズから語る、事業のポイント」と題された2時間ほどの講演でしたが、非常に有意義なものだったのでメモしておきます。
 秋元さんは平成13年、まだ大学生だった21歳の時に、岐阜市の商店街のイベント運営やタウン情報誌を事業とするNPO法人、G-netを起業。その後、大学生を中小企業経営者に弟子入りさせ、ビジネスを共に考えて行動する「ホンキ系インターンシップ」事業や、中小企業向けの大学生の就職マッチング支援事業に業態を転換し、事業規模(年商)1億円、常勤雇用者12名にまで成長させました。これは全国的に見ても大変な成功で、経済産業省の「ソーシャルビジネス55選」など多数の表彰を受けています。
 現在はG-netの代表理事は退き、オカビズのセンター長として中小企業の売り上げアップのためのコンサル業務に従事されていますが、ここも年間で2000件以上もの相談が殺到する、行列のできる経営相談所として全国的に有名になっています。

2017年7月4日火曜日

赤福、外宮前に「第二おかげ横丁」を整備か

 先月だったか、日本経済新聞の中部経済板に、「三重県の優良企業」みたいな連載記事があり、赤福の濱田益嗣会長のインタビューが載っていました。濱田会長は昭和30年代の高度成長期に、必ずや日本にもレジャーブームが巻き起こること、そしてその中でも伊勢詣でのような「心の観光」が強みになるであろうことを確信し、伊勢の小さな餅屋に過ぎなかった赤福の大量生産と流通網拡大に巨額を設備投資し、大々的なテレビコマーシャルによって伊勢名物・赤福のイメージを消費者に刷り込むことに成功しました。平成に入ると「おかげ横丁」の企画、構想、開発の陣頭指揮をとり、今や年間500万人以上の観光客が訪れる、日本を代表する複合テーマパークに成長させています。
 平成19年には赤福が賞味期限を改ざんしていた「赤福偽装事件」の責任を取る形で社長を退任しましたが、今でも、おかげ横丁のデベロッパー会社である濱田総業の会長として伊勢志摩の経済界に隠然とした力を持っていると言われています。
 それゆえに日経新聞も齢80になるという濱田氏のインタビューを取ったわけでしょうし、昨日(7月3日付け)の日経MJにはそのダイジェスト版である「第2のおかげ横丁」なる構想が大きく取り上げられていました載っていました。

2017年7月3日月曜日

お疲れさま、「地方創生」

 今日(7月3日付け)の日本経済新聞・朝刊のコラム「時流地流」には、読んでいて思わず頷いた人も多かったことでしょう。「地方創生」の宴のあと というタイトルで、安倍首相が自身をトップに据える本部組織までも立ち上げて取り組んだ地方創生が最近めっきり存在感を低下させており、地方自治体の関連予算が膨らむ、いわゆる地方創生「バブル」も一時は話題になったものの、そんな言葉も3年で文字どおり泡と消えてしまった、と論じています。
 確かにこれは事実で、グーグルトレンドで検索すると、地方創生本部が設置表明された平成26年6月ごろから急激に検索数が増大し、多少のジグザグはあるものの、トレンドとしては徐々に減少傾向となっています。

google trends より


2017年7月2日日曜日

三重大学が国際忍者研究センターを設立

 三重大学が、全国初となる ~したがっておそらく世界初となる~ 国際忍者研究センターを設立しました。
 忍者の本場ともいえる三重県伊賀市の、三重大学伊賀サテライト内に事務所を置き、準教授1名を選任研究員に配置。今まで本格的な学術検討が少なかった忍者について、伊賀地域に残る古文書を収集・解析するなどして、忍者や忍術を体系づけた学問にしていくことを目指すそうです。また、忍者をテーマにした漫画や小説、映画などの資料も収集して調査研究を行い、将来的には集めた資料を一般公開することも予定しているとのこと。
 三重大学では、国内外の研究者による(仮称)国際忍者学会も設立予定で、来年2月には伊賀市で第1回の学会開催も計画されているそうで、毎日新聞によると、忍者研究センター長の安食和宏・同大学人文学部長は「その地ならではの研究をして、地域の活性化に寄与するモデルにしたい」と抱負を語っているそうです。
 確かに伊賀忍者は三重県にとっても重要な地域資源なので、地元の大学との学術的な連携により、より歴史が検証され、世界に情報発信されれば、地元への文化的、経済的な効果は決して小さくないでしょう。

2017年7月1日土曜日

元地域おこし協力隊員が町を提訴へ

 中日新聞などによると、三重県南伊勢町の臨時職員の女性が、町を相手どって慰謝料や休職中の給与などの損害賠償を求め、津地裁伊勢支部に提訴しました。
 この女性は昨年7月に、地域の活性化や若年層の定住を促す「地域おこし協力隊員」として他の男女2名の隊員と共に南伊勢町役場に1年契約で採用されていました。
 活動の中では、集落の祭で、途絶えていた行事を半世紀ぶりに復活させたのに携わるなどしていたそうですが、職場でのパワーハラスメントが原因で休職に追い込まれたとして提訴に至ったものとのこと。ちなみに、南伊勢町では同時期に採用された隊員のうちもう一人の女性も、理由は不明ながら今年3月で退職しています。
 はんわしブログでも地域おこし協力隊については何度か取り上げています(最下段にリンクあり)が、全国で隊員の累計が4000人にもなったこの活動は、大きな成果を上げている反面、このようにトラブルになったり、早期退職するケースも相次いでおり、一つの曲がり角に来ていることは間違いありません。端的に言えば、隊員の意欲や能力を活用して生き残れる集落(自治体)と、活用できず衰退がほぼ確定的となった集落とが、この数年間で明確に判別されるようになったということです。