2017年6月6日火曜日

興味深い経営革新承認数の推移(マニアック)

*マニアックな内容なので、中小企業支援関係者以外は無視してください*

 わしが中小企業から経営相談を受けたときに、まず薦めるのは「経営革新計画の承認制度」です。
 中小企業等経営強化法という法律に基づく国の支援制度であり、
1)中小企業がこれまで自社では取り組んでいなかった、新商品・新サービスの開発や生産・提供、新たな生産方式や販売方式の導入などの新たな事業活動を行う場合で、
2)付加価値額などが年3%以上伸び、かつ、経常利益が年率平均1%以上伸びる計画(経営革新計画)を作成し、
3)その計画を都道府県知事が承認すること
により、政府系金融機関による低利融資や、信用保証の特例、特許料などの減免措置が受けられるというもので、中小企業にとって非常に有利な支援制度ということができます。
 平成11年度にこの制度が発足して以来、全国でのべ6万3千件以上の計画認定があり(平成28年度末時点)、多くの中小企業が経営の革新、すなわちイノベーションに取り組んでいます。


 で、たまたま調べごとがあってネットを調べていたら、経済産業省中小企業庁が公表している都道府県別・年度別の経営革新計画承認件数の一覧表を発見しました。
 よくよくこれを見ていると、わし的にはなかなか興味深い発見がありました。端的に言って、都道府県ごとに承認数の差や傾向が大きく違っているということです。

 平成23年度から数字がある28年度までの承認件数を、三重県と、そのライバル(?)である岐阜県、滋賀県とで比較するとこうなります。

経営革新計画承認数(全国は棒ブラフ、右目盛りで表示)

 全国的に承認件数は増加傾向にあります。これは、中小企業庁の施策により、中小企業が経営革新について相談する窓口(認定支援機関)が、従来の商工会議所や商工会に加えて、金融機関、税理士などにも拡大されてきたことと関係していると思います。
 しかしながら、三重、岐阜、滋賀とも、そもそも承認の絶対数が少ないうえに、年々減少傾向にあるのです。
 参考数値として、まったく何の根拠もないながら、23~28年度の承認数の累計を、それぞれの県の中小企業の数で割ってみました。「承認企業数の比率」の目安としてです。
 たとえば、中小企業白書によれば、全国には約381万の中小企業(平成26年時点ので会社と個人事業所)があります。全国の5年間の経営革新承認件数の累計は1万7793件なので、パーセントは0.47%となります。
 中小企業全体から見れば、経営革新に取り組む意欲のある企業の割合は、決して高いものではないことがわかります。
 この方法で三つの県を見ると、三重県0.35%、岐阜県0.27%、滋賀県0.43%となります。意外にも全国平均より低いのです。

 ついでに、東京都、愛知県、大阪府と、先の一覧表で特に承認件数の多さが目についた、茨城県と岡山県をグラフにしました。

経営革新計画承認件数(全国は棒グラフ、右目盛りで表示)

 トレンドとして東京都は24年度以来、一貫して承認数が増加しています。愛知県も同様に増加基調ですが、大阪府は横ばい。何となく、この3つの地域の経済状況が垣間見えるような気がします。
 グラフでは一目瞭然ですが、一年度あたりの承認件数は、茨城、岡山とも130~220件ほどもあり、三重県の承認件数の10倍近い数字です。
 もちろん、中小企業の絶対数が違うので、念のために上と同様に、経営革新計画承認企業数の23~25年度の累計数を、中小企業白書による中小企業数で割ってみました。
 すると
・東京都  0.36%
・愛知県  0.47%
・大阪府  0.22%
 と全国平均と大差ないのに対し、
・茨城県  1.07%
・岡山県  1.06%
 という驚異的な割合になります。

 なぜこの両県だけ突出して割合が高いのかはわかりません。
 そもそも経営革新にチャレンジングな経営者が多い、高い技術力や強い商品力を持った中小企業が多い、熱心な支援機関が多い、など複合的な理由があるのだと思います。

 まあ、今まで書いてきたのはあくまでも試算で、パーセントの数字は目安にしかなりません。しかし、一般的に信じられているような「東京や大阪は経済的に繁栄していて、それ以外の地方は疲弊している」といった単純な図式ではなく、少なくとも中小企業のイノベーション力は茨城や岡山などの地域では非常に高い ~したがって、経済状況もさほど悪くはなく、中小企業は元気である~ という推論は十分に成り立つと思います。
 中小企業や地方は決して一律の「弱者」でなく、まだら模様なのだということです。

■中小企業庁 経営革新計画承認件数  リンクはこちら

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