2017年6月18日日曜日

瑞風効果は難しい

 JR西日本が運行する豪華寝台列車「瑞風」(みずかぜ) ~正式名はトワイライトエクスプレス瑞風、だそうです~ が6月17日から運行を開始しました。
 京都・大阪から下関に至る、1泊2日の4つの片道コースと2泊3日の周遊コースがあって、運賃は最も価格が安いもので一人27万円。最も高額なのは周遊コースのザ・スイート利用で125万円。贅が尽くされた車中で景観を見ながら食事を楽しむなどのほか、途中では「立ち寄り観光地」で下車し、専用観光バスで目的地まで送迎されるなど、本当のセレブ旅行、超高級鉄道旅が演出されているそうです。
 驚くべきことに高額な瑞風の旅行は人気沸騰中で、チケット入手は数か月待ち状態とのこと。豪華寝台列車はJR九州のななつ星や、JR東日本の四季島なども先行しており、今まで日本にはなかった新しい鉄道旅として定着しそうです。
 山陰線、山陽線の沿線各地は大歓迎ムードで、住民らが小旗を振って迎えたり、民謡踊りや太鼓などのイベントなども開かれたというニュースが伝えられていますが、果たして地元が期待する「瑞風効果」なるものが本当にあるのかにわし的にはやや不安を感じるところではあります。


 読売新聞オンライン(6月18日付け 待ってた瑞風 京走る)によると
・瑞風が通過する亀岡駅(京都府亀岡市)では市職員ら約30人が、ゆるキャラと共に瑞風を出迎えた。通過する数十秒の間、手や旗を振って大歓迎。

 神戸新聞NEXT(6月18日付け 「瑞風」熱烈歓迎 但馬の沿線各地「来た来た!」)によれば
・和田山駅(兵庫県朝来市)では瑞風がゆっくりと駅を通過する間、近くの保育園児16人が瑞風の塗り絵をした旗を振って歓迎。
・瑞風が停車する城崎温泉駅(豊岡市)では到着1時間前から地元住民や観光客らが詰め掛け、列車が到着すると一斉に旗を振って迎え、太鼓演奏がホームに鳴り響いた。
・香住駅(香美町)では、約300人が駅に訪れ、ホームでは地元のゆるキャラたちが結集。住民らで造る団体が傘を使った舞を披露。
浜坂駅(新温泉町)では約700人が待ち受け、11分間の停車中、浜坂高校麒麟獅子舞サークルの生徒が、笛や太鼓、鐘のおはやしに合わせて、伝説の霊獣・麒麟を模した獅子頭をゆっくりと振り、優雅で勇壮な舞を繰り広げた。

 など各地の歓迎ぶりが紹介されています。
 これらの歓迎イベントは地方自治体や観光協会などが企画しているようですが、その目的はいわゆる「瑞風効果」なるものであるとされます。

 毎日新聞(6月15日付け 豪華寝台列車「瑞風効果」に期待高まる)によると、
・瑞風の運行開始を控え、コースとなる山陰線、山陽線の沿線では、歓迎ムードと「瑞風効果」への期待が高まる。
・東浜駅(鳥取県岩美町)は4月、駅舎を改築して瑞風停車時に車体エンブレムが映り込む鏡面の天井を駅入り口に備えた。住民有志が「東浜瑞風会」を結成し、途絶えていた地元の東浜音頭を復活させ、降車する乗客を前に披露して歓迎する。
・東浜はかつて観光客でにぎわったが過疎化などで観光業は衰退。瑞風の乗客は少人数ながら、停車するブランド力に関係者は熱い視線を送る。
・東浜瑞風会の中心メンバーは「地元の自然の美しさが瑞風効果で全国に広まってほしい」と話す。
 という記事があり、地元が期待してやまない「瑞風効果」の本音を端的に伝えています。

 これは京都、兵庫、鳥取だけではなく、山口県では県庁が 瑞風に向かって手を振ろう! なる報道発表を行い、下関駅が発着駅になるアドバンテージを生かし、瑞風に対するおもてなし機運の定着、一層の向上を図っていくとしています。(リンクはこちら

 もちろん、経済活動が疲弊している全国の地方は観光業の振興を進めており、瑞風の運行は沿線地域に大きなチャンスとなることは間違いありません。
 しかし、実際問題として、岩美町の関係者も自覚しているように瑞風の乗客数はごく少数であり、乗客に対するPRはほとんど波及効果がないでしょう。
 むしろ、こうしてマスコミに取り上げられることのほうが効果はあるでしょうが、ニュースはあくまで一過性のもので、運行初日だから大きく報じられるのはむしろ当然で、ライバル観光地も同じことをしているわけですから早くも埋没しているところも出てくるわけです。

 まず観光地、そしてその地域(自治体)の魅力や利便性をどう高めるかの戦略と具体策、そして歓迎イベントをこれからも未来永劫、毎回瑞風が通過するたびに行うくらいの継続性がないと、その効果は到底及ばないでしょう。当然ながら特効薬ではないのです。

0 件のコメント: